
山形県遊佐町のアマハゲ 宗形慧 撮影
宗形慧氏の写真展 「遠山郷 霜月祭り -神が天から舞い降りた-」については、こちらをご覧ください。

和田の霜月祭り 1994年 門司邦雄 撮影
霜月祭りに取材したビデオ、「湯立て神楽」もご覧ください。
ナマハゲの女湯侵入事件とか、蘇民祭のセクハラ問題とか、日本伝統の祭り・神事の粗野な部分が今の社会から追放されようとしているように感じられます。前にも書きましたが、愛知県豊根村の有名な「花祭り」は、今年から中止になるそうです。祭りを支えてきた生活基盤が時代とともに失われ、住人も少なくなり、祭りの担い手もいなくなっていきます。宗形さんが取材した霜月祭りの村々でも、普段は町に勤めに出ていて祭りの時だけ実家に戻ってくる若者が増え、祭りの練習もままならないと聞きました。
日本の祭り、その神事の背景には、自然神への素朴な怖れと慄きがあったと思います。死への恐れと、生つまり子供を授かる性への信仰も見ることができます。ただ、こうした信仰が、今の日本の都市に住む人々の生活感覚に合わなくなって来たのも事実でしょう。様式化したものの一部のみを認めることが、祭りの意味の存続に繋がるのかは、分りません。例えば、門松は女陰に挿入された男根を表しているという説があります。でも、門松という様式化でセクハラにはなりません。祭りの時に飾られる絵や男根像には、もっとリアルなものもあります。こちらは、学問的な本以外では一般的にはお目にかからないかも知れません。
霜月祭りを始め、日本の古くからの祭りが中間山間部に多く残って来たのは、交通が不便で、生活が厳しいので村の団結を強める必要があり、伝えられてきたとされます。でも、宗形さんの霜月祭りの取材に2度ほど同行しましたが、夜は光が全く見えない森、険しい斜面、青くかすむ山々など、日常的に自然への恐れが強く感じられること自体も、祭りを守ってきた思います。村には老人たちが残り、やがて祭りも無くなり、人もいなくなるのは、大きく見れば工業化してゆく地球的な規模の現象でしょう。ただ、国や地域に限れば、地方政治と農業政策などによる影響もかなりあるでしょう。
ナマハゲが女湯に侵入してセクハラ問題になりましたが、もともとは恐怖で子供や若い女性をしつけることがナマハゲの役割だったと思います。鬼が子供を泣かすという祭りの神事はひろく日本中に残っています。先日、よろず相談にお伺いした時に篠原さんは、人を変えることができるものとして恐怖を挙げていました。男性は、頭で考えて変わることもできるが、女性は恐怖感からでないと変われないとも言われていました。体の構造が違いますから、男女が全く同じことは無いと思いますが、個人差もたくさんあると思います。
今は、新しい自然と人間の脅威が先進諸国を覆いつつあります。先進国の衰退、キリスト教徒とユダヤ教徒にとってはイスラム勢力の拡大、テロとテロ戦争、地球温暖化による気候の過激化。日本の日常的レベルとなると、資源不足による生活必需品の値上がり、少子化による社会の衰退と荒廃、高齢化による老人介護問題など、いくらでもあります。最近では、年金と食の安全性が脅かされています。社会の中で人がどう生きていけば良いのか、あるいは、どうしたら楽に死ねるかが問われていると思います。サルトルのライバルとされたカミュに言わせれば「幸福な死 La mort heureuse 」の追求です。もちろん、人により答えは様々でしょう。それについては、ここでは語りませんし、今に始まったことでもないでしょう。フランスの19世紀の詩人たち、ボードレール、マラルメ、ランボーの詩にも、同じような恐れと慄きを読み取ることができます。キリスト教信仰の衰退が、つまり天空での神の死が、これらの詩人たちに恐れと慄きを見せたのかも知れません。
さて、アメリカ大統領予備選、とくに民主党のクリントン氏とオバマ氏の指名争いが激しくなってきています。オバマ氏は CHANGE (変革)をスローガンとしています。たまたま、夫人のミシェル氏(これは天使ミカエラから来た名前でしょう)が演説しているのを聞きましたが、FEAR (恐れ)という言葉を何回も使って話していました。確かに力強く、ひょっとして夫のバラク氏よりも説得力があるかもしれないと思わせるスピーチでした。恐怖と変革が、ふたりのスピーチの中でセットになっているのかも知れません。ミシェル氏のインタビュー時の知的で柔らかな話しぶりと力強いスピーチは、バラク氏も参考にしているかも知れませんね。余談ですが、オバマ氏のホームページもとても立派で、テレビ局のホームページよりも良くできているというのが感想です。残念ながら、今のアメリカの状況を身近に知るほどは、私には語学力も情報もありません。ただ、イラク戦争の作戦名「イラクの自由」の戦略は「Shock and awe 衝撃と畏怖」だったことをなんとなく思い出しました。英語版のWikipediaで調べると、Shock and awe の Historical applications 歴史的実施に、日本のHiroshima and Nagasaki が原爆雲の写真入りで出ていました。

PAX AMERICANA Photo-CG by Kunio - October 11, 2006
なお、日経BPネットに、クリントンVSオバマに関する高濱賛氏の興味深い記事「米大統領予備選の行方と日米関係を読み解く」(2月12日)が掲載されています。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/news/080212_supertuesday/?cd=ad&M=bp&KW=065552


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