アメリカ合衆国次期大統領選挙で、民主党のバラク・オバマが圧倒的な勝利を果たした。日経NBオンラインに詳しい分析記事「オバマ 勝利の真実」の「(1)300日戦争~金融恐慌が後押しした劇的な勝利」が載っていて、楽しく読むことができた。インターネットを使った草の根からの政治運動・献金システムでヒラリー・クリントンに勝ち、さらに最近の金融恐慌でジョン・マケインに勝ったと主要要因を分析していました。インターネットが政治に直接の力を持つ時代になったとすれば、ランボーが「イリュミナスィオン」の「魔神」で書いたことが、少しは現実として見えるようになったのだろうか。オバマの演説も、始めの頃は教会の説教のようだとか、牧師の手法を使っているとか言われていたが、最近では詩のようだとも評されていた。もちろん、詩は言葉でしかないし、言葉であるが故に、強い力を持つこともあると言えるかもしれない。詩の先には、政治・産業的に巨大な力を持つ軍産複合体、巨額の財政赤字、金融危機、世界のドル離れ、環境問題、アメリカの力そのものの衰退など、これからは実際の問題との闘いになる。軍事的・経済的に傾いているアメリカの覇権と世界の多極化はどうなっていくのだろか、日本はどう対応していくのだろうか。個人は何もできないとしても、やはり注視していくだろう。なお、オバマの演説はABCニュースで聞くことができます。
さて、オバマのスローガンは、CHANGE YES WE CAN 私たちは変革できる、もっと直訳すれば、「変革、はい、私たちはできます。」 CHANGE を動詞と取るとCHANGEの目的語が無い、変革されるのは、アメリカか世界なのだろうが。だから、この CHANGE ぱ名詞ですね、つまりは、言葉ですね。今、オバマのホームページには、Thank you CHANGE CAN HAPPEN と書かれている。ありがとう、変革はできる。この CHANGE という言葉を見ると、すぐにランボーの「地獄での一季節」の錯乱のⅠに書かれていた「世の中を変える changer la vie 」を思い出します。フランス語の動詞 changer は、英語の change (動詞)に当たります。愚かな処女に比喩されたヴェルレーヌの口を通して「彼は「世の中を変える」ための秘密を握っているのかしら? いいえ、彼はそれを捜しているだけです、と自分に言い返すのでした。要するに、彼の愛には魔法がかけられていて、私はその虜なのです。」と、見者の詩で世界を変革しようと意図したランボー自身を捉えなおしています。この「愛」は、男女間の愛 amour でなく、普遍的な愛 charite です。英語ではチャリティ charity つまり、キリスト教でいう愛徳になります。アメリカでは、キリスト教はまだまだ日常生活にも政治にも密着していると言われています。少なくとも、オバマとキリスト教は対立関係ではありません。ランボーはキリスト教に反抗して社会を変革しようとしました。それは、王権と結びついたカトリックの強いフランスでの、フランス革命の始まりからの闘いでもありました。キリスト教に対抗して掲げられたものは、人間の理性 raison でした。「イリュミナスィオン」には、「ある理性に」という詩があります。
ある理性に
君の指の太鼓の一打ちで、全ての音は解き放たれ、新しいハーモニーが始まる。
君の一歩で、新しい人々は決起し、前進する。
向こうを向けば、新しい愛! 振り向いても、 ― 新しい愛!
「ぼくらの運命を変えてくれ、災いをふるいにかけてくれ、まずは時間から」と、この子らが君に歌う。
「どこでも良いから、我々の幸運と願いの実体を築いてくれ」と、君は頼まれる。
いつも来てくれた、どこにでも行ってくれる。
さて、このところ、私のランボーサイトを読みやすいように、すこしずつ手を入れはじめました。解読も一部更新しています。ぜひ、お立ち寄りください。

