6.02.2011

稲と太陽と、夢の太陽光パネル?















植物の物質生産の実験装置 1952年頃 門司正三撮影

 東京大学の植物生態学教室に付属した実験室で、10センチ程の長いガラスの四角柱の上部に蛍光灯の照明が付いていて、中には稲がびっしり植えられていた。容器の周りは黒紙で覆われていた。あれは、ぼくが中学生の時だったろうか。40年以上前なので、もう記憶がボケてきている。もし覚えている方がいらっしゃったら、いつだったか教えていただきたい。
 植物生態学者であった父は「稲の光合成について調べている」と教えてくれたのだ。稲の光合成の効率は高いということも教えてもらったのだが、その時ではなかったように記憶している。

 ぼくは父の学問分野には進まなかったので、その実験のことはかなりの間、頭の片隅で眠っていた。なぜ、縦長い稲の葉の生産性が高いのだろうか。そのことを気にしだしたのは、「ランボーの「体感 (サンサシオン)」に書いたように、『DNA』(ジェームス・ワトソン、アンドリュー・ベリー共著、青木薫訳、講談社)」で、「枝分かれする麦」を読んでからだ。1株辺りの収量は増えても、植付け間隔が広く必要になり、単位面積あたりの収量は落ちるということだった。残念ながら、枝分かれする麦の絵も写真も載っていなかった。
 進化の不思議で、さまざまな環境にさまざまな形状の植物が地球のかなりの部分を覆ってきた。特に地上では、植物の葉は、太陽エネルギーを可能な限り利用しようと上に伸びて葉を広げる。単純に考えれば、太陽光に垂直に位置する葉が最大のエネルギー効率を得ることになる。垂直に立った細長い稲の葉は、単体ではエネルギーロスの多い形状である。しかし、真上にある太陽の強い光は熱も発生させる。植物は蒸散作用と風によって適温を保つようになっている。熱帯原産の稲の葉は、強い光から身を守る形をしているのだろうか。垂直に長い葉は、低い位置の太陽の光を効率よく捕らえることができる。水面や地面の反射光も利用できる。細長い葉は、密生が可能であり、風通しもさほど悪くならない。湿度の高い湿地帯でも葉が覆って湿気を閉じ込めることが少なく、蒸散作用を維持できる。さらに葉の支持体が無いことから、支持体に費やすエネルギーもほぼ無いだろう。こうしたことにより、稲の太陽エネルギー利用効率は高いのではないだろうか。もちろん、生育に適した環境では、という条件はあるのだが。
 ぼくは生物分野に進んだわけでもなく、素人のひとり言なので、間違っているところは指摘していただきたい。

 今、東日本大震災による原子力発電所の事故により、太陽光パネルが注目を浴びている。諸外国では、太陽光を集めボイラーを熱して水蒸気を作り、タービンを回す発電方法も注目されているという。この方法は、既存の資源を再利用するメリットがあるそうだ。
 太陽光パネルの効率を上げるにはどうしたら良いのだろうか。パネル本体の効率はもちろんだが、支持体を動かし、発電効率の良い方向に向ける。いっそのこと、パネルを単一な平面でなくしたらどうだろうか。パネルそのものでなくても、カバーしているガラスの形状による効率化も考えられるような気がする。いずれにせよ、制作技術上の難しさとともに、受光体が汚れやすく、清掃しにくいという問題もあるだろう。たとえ可能でも、量産化できなければコストが下がらない。
 最近では、量子ドット太陽電池が開発されつつあるという。これだと太陽光の6~7割を電気に変えられるという。デジタルカメラのCMOS、CCDには、受光体ごとにレンズが付いていて集光効率を高めている。こうした技術を応用し、実用化してコストを下げれば、脱原発も夢ではないのでは。
 植物をヒントにした太陽光発電パネルの効率化は素人の妄想で、それなら、植物そのものを利用した方が良いのではないかと言われてしまうかも知れない。しかし、市街地も含めて樹を植えにくい場所もたくさんある。

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